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台風で創建以来の大被害

宮島空撮

 平成3年9月29日の夜、大型で非常に強い勢力の台風19号は九州に上陸、日本列島を駆け抜け各地に大きな被害をもたらしたが、宮島もこの直撃を受けた。瞬間最大風速80メートルという突風が、弥山(みせん)側から山を越え吹き荒れた。これに沖から打ち寄せる高波が重なって、被害が一段と大きくなってしまった。

能舞台
修復再建した能舞台

 国宝の本社社殿の被害も小さくなかったが、とりわけ国の重要文化財の能舞台は強風で柱が倒れ檜皮葺(ひわだぶき)の屋根が砂浜にそっくり座り込んだ形になってしまった。この能舞台は、永禄11年(1568)京都の観世太夫を招いて法楽を催したとき建てたといわれており、400年余の歴史を持つ重要な建造物である。
 前年の平成2年に6000万円をかけて能楽屋とともに屋根の葺き替え等の修理を終えたばかりのところにこの被害という何とも皮肉な結果であった。
 厳島神社は昭和20年の枕崎台風でも御手洗川の氾濫で大被害を受けたが、この年の被害はそれをはるかに上回る創建以来の天災となった。文化庁の調査で、宮島の文化財被害は総額7億2000万円に達していることが判り、台風による文化財被害としては、全国的にみても過去最大のものであった。
 能舞台の復旧作業は、文化財建造物保存技術協会や神社の工務所の職員によって、能舞台を解体してそれぞれの部分の材料を一つ一つチェックし、再利用できるものと、できないものに分類するという作業が続け、平成5年に予定していた創建千四百年祭を2年延期して修復再建に取り組んだのである。


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