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21世紀を迎えふくらむ夢

 広島県は10年前から国際化の推進、地域経済の活性化、ウォーターフロント空間の整備など広島港への多様のニーズに対応するため、広島ポートルネッサンス21調査委員会で出された提言に基づいて、宇品・出島地区の港湾整備計画を推進してきた。それでは広島港の現状と未来のプランを見てみよう。
 まず宇品内港地区は、フェリーバースとして瀬戸内海における海上旅客交通の拠点として賑わっている。島しょ部を始め、九州、四国地方とフェリー航路が結ばれており、年間乗降客数は約370万人と全国で6番目に数えられている。平成13年度には、新旅客ターミナルの建設に着手し、平成14年度末の供用開始をめざしている。
 宇品外貿地区は、広島港における最大の外国貿易の拠点である。−10メートル岸壁5バースを供用しており、韓国や中国への国際定期便をはじめ年間700隻が入出港してる。主に自動車や一般機械、穀物、日用品などを取扱い、世界各地に向けてダイレクト積みされている。
 出島地区は「広島ポートルネッサンス21」事業の中心地区である。出島の沖合約130ヘクタールを埋立て、メッセ・コンベション施設や−14メートル岸壁を持つ外貿コンテナターミナル、3万トンクラスの客船が接岸できる国際観光船埠頭などを整備する予定である。
 海田地区は海田コンテナターミナルとして、コンテナ埠頭2バースを含む13バースが供用されており韓国、台湾向けのダイレクト輸送や、神戸港へのフィーダーサービスに利用されている。
 五日市地区は、広島港の新流通拠点を目指し、八幡川火口の沖合150ヘクタールの造成を進めていて、現在−7.5メートル岸壁等2バースを一部供用し、東京航路に利用されている。さらに中小企業、住宅、教育用の用地、公園、レクレーション施設など潤いのある空間を創造していくことになる。
 そして観音地区では、広島港のプレジャーボート基地として、ヨット、モーターボートなどを850隻収容できる大規模マリーナを建設し、平成10年度に海上保管施設を完成させ、今後は陸上保管施設の整備を進めるという。
 広島県に生まれ育ち、宇品の変遷を愛情を込めて見つめ、地元再生のボランティア活動を続けてきた、ある瀬戸内海汽船の社員は「港には、ボーと汽笛が鳴って、その中に引き込まれてゆくような雰囲気が必要だ。宇品は港町だが、横浜や神戸が持っている若者を引きつける魅力に、今ひとつ乏しいように思う。港づくりには、大プロジェクトも大切だが、私たち地元の人間の小さな活動が、そうした雰囲気づくりの呼び水になり、若者が集まる街になれば……」と宇品再生への思いを語ってくれた。